リフォーム・リノベーションのススメ。
今年に入ってから、エフ・ベースへの仕事依頼は、新築よりも圧倒的にリフォームやリノベーションが増えています。
新築はご存知の通り何もないところ(更地)や一旦解体し更地にしたところに建築する(建替え)ので、
正直、申請も工事も非常にやりやすいのですが、リフォームやリノベーションのように今あるものに手を加え、
使いやすくするという行為は、私たち建築に携わる者としてはなかなか労力が要るものです。
ですので正直なところ、申請にしても詳細はグレーな部分が多く、はっきりいって面倒なので、申請や工事に取り掛かる会社も少ないのが現状です。
余談ですが、最近、長期優良住宅認定の増改築の申請をしたら、新築の申請よりも手数料が1.5倍ほど高い事実に驚きました。
(国では空き家や既存住宅の利活用を推進している(と思っていた)ので、新築の申請と同じか、少し安いと考えていました。)
こういったところも業界として気が進まない背景でしょう。
しかしながら、労力は要りますが、個人的には限りある資源の利活用やモノを大切に使うという観点では、私はいい傾向だと考えています。
さて話は変わりますが。
リフォームとリノベーションは意味が少し違います。
リフォームとは
リフォームという言葉のほうが馴染みがあるかもしれません。
リフォームは老朽化した建築物を新築に近い状態に戻すことです。
できたときは最新の新築住宅でも、床や壁についた家具や電化製品の設置跡、
経年劣化による設備の損傷、水回りなどの損傷や設備の老朽化は避けられません。
これらを取り替えたりする、比較的小規模な工事のことを指します。
おもな例としては、壁紙(クロス)の貼り替え、キッチンやユニットバス設備の交換、外壁の塗り替えなどです。
リフォームはリノベーションに比べて工事の規模が小さく表面的な工事が多いため、短期間で工事が終了する傾向にあります。
一部分のみを変更・修繕するため、全体的なデザイン性は追求しづらく、
リフォームをした箇所としていない箇所で統一感が失われてしまう可能性はあります。
マンションやアパートの場合には、入居者が退居した後、その入居者の住む前の状態に戻すことを指す場合があり、
原状回復を示すことが多いです。
リノベーションとは
リノベーションは、既存の建築物に工事を加え、既存のものよりも価値を高めることを指します。
中古物件を購入して、間取りや配管を工夫し、変更することで自分好みの家にしたり、
住んでいる家の家族の増減などで暮らしやすい住まいに設え替えたりしたい場合などに活用されます。
耐久性や耐震性を高めるために壁の補修を行ったり、家族が増えたことから、仕切りの壁をなくして、
広々としたリビングダイニングキッチンにしたりすることなどの大規模な改修が「リノベーション」に該当します。
リノベーションは自身の利便性に合わせて設計が可能なので、
中古物件をリノベーションすれば、住みやすい住環境を作ることもできます。
リノベーションをすることを想定して、中古物件も含めた物件探しをすれば、より選択肢は広がります。
リフォームよりも工事が大規模になるため、多額の費用が必要ですが、新築を一から建てるよりは低予算で実現する傾向です。
断熱や耐震改修をするといった、フルリノベーションを希望するような場合は、
さらに工事範囲が大きくなり、工事費用も高額になります。
一戸建てなら3~4ヵ月が目安ですので、もはや新築工事並みです。
工事期間が長いため、仮住まい費用の準備も必要になります。
調査は重要
リフォームをするにしてもリノベーションをするにしても、現状の建物の調査をしっかりしておく必要があります。
・押入れの天井点検口から覗いて小屋裏の構成や材料の大きさを確認
・建具(サッシ)廻りの劣化確認
・雨漏りのあとはないか
・シロアリ被害はないか
・床下の構成はどうか
新築時も土地の周囲の調査は当然必要ですが、あるものを活かすという点ではより慎重になります。
しかし、調査はしても、例えば壁を解体してみたら予想や当時の図面と違った!ということはよくある話です。
空き家の数
ところで、住宅・土地統計調査(総務省)によれば、空き家の総数は、この20年で1.8倍(448万戸→820万戸)に増加していて、
そのうち、「賃貸用又は売却用の住宅」等を除いた「その他の住宅」がこの20年で2.1倍(149万戸→318万戸)に増加しています。
そして、「その他の住宅」の中でも一戸建ての住宅は(220万戸)にのぼります。
解体すればいいのかもしれませんが、壊すにもお金がかかるし、固定資産税も上がるのでそのままとなるケースが多いようです。
物価がじわじわ上がっていき、少子化や核家族化も進み、相続により取得した空き家が多い現状で、
新築はあまり時代に合っていないのかもしれません。
なんでも新しいほうが気分がいいし、テンションも上がりますが、できれば今あるものを活用していくほうが、
愛着も湧き、歴史や文化の継承といった面でもプラスになると考えます。
今後のプロジェクト
エフ・ベースのホームページをご覧の方ならば、既知のことかもしれませんが、
毎月、有志で活動するコミュニティースペース「KAMIUCHIDA BASE」にある中古住宅は
今後フルリノベーションを行い、完成後は新たなるコミュニティーを形成する施設として生まれ変わる予定です。
こちらのコミュニティー施設のリノベーション活動、周囲の整備やお楽しみイベントにはどなたも参加することができます。
お一人で参加されて、ここでお友達になって、新たなつながりをされる参加者様もいらっしゃいます。
定期的に開催のお知らせがホームページ等にUPされていますので、ご興味ある方はご参加ください。