木の向き、上下の使い方
エフベースの鈴木徹也です。
2カ月ほど前に、お客様のお庭に目隠しをかねた外小屋を建てさせていただきました。
木材はプレカット工場へ加工を頼まずに、現場にて製材済みの材料から大工さんの手加工でつくったものを、そのまま組み上げていきました。
私も組む前の加工寸法の確認や、仕上げ加工をいっしょにしていました。
ところで、木の使い方には向きがあるのはご存じでしょうか?
木には、山に生えている状態で根本側と先端側の向きがあります。木を建物に使うとき、特に柱として使う場合は根本側を下、先端側を上の方向で使うべきです。逆さに使うのは何かおかしく思います。
木を切ってままの枝がついている状態なら上下は見てすぐにわかります。枝を落として丸太になっても、太い方が根本側(元口)、細い方が先端側(末口)ということは見てすぐにわかります。ところが四角の形に製材された状態では、一見すると上下の向きはわかりません。
では、四角い製材でどうやって上下の見分ければよいのでしょう。一つ目の方法は、赤身と白太の具合でみる方法、二つ目めは、木目の具合でみる方法、三つ目は節の様子でみる方法があります。
赤身と白太の具合でみる方法
木材の中心側の部分を赤身(心材ともいう)と白太(辺材ともいう)の具合でわかります。下側が太く、上側にいくにつれて細くなっていきます。写真の右側3本はわかりやすいですね。
杉は特に赤身と白太の色の違いが強く、わかりやすいです。
木目の具合でみる方法
木目には板目(いため)、柾目(まさめ)があります。柱や梁を木取りすると木材の中心を含む形なので、通常は板目の面がみえます。図の右のように板目はタケノコのような波模様になっていて、模様の先端の方が上方向となります。木材という自然のものを四角に切りとることでできる模様です。
図の左は、生えている状態の立木の年輪について、縦方向断面でおおざっぱにしたイラスト図です。木の成長とともに横方向に太くなり、上方向にも年輪という層を被っていくようなイメージです。根本が太くて先端が細いので、年輪は縦方向としては傾斜しているため、製材でまっすぐに切ることで右図のような板目模様になります。
節の様子でみる方法
節のならびの傾斜具合でもわかります。写真のように、節が中心から斜め上方向に向いていることから、立ち木の状態で右のように枝が生えていたことがわかります。
上写真はわかりやすい節でしたが、見えている木材の面で傾斜がないことも多いです。
節の芯のずれ具合でも、木の上下がわかります。針葉樹の場合は節の芯の狭い方が上で、広い方が下になります。
幹から生えている枝が垂れないように、枝の元で下から支えるように木材組織が発達します。それにより節の芯がずれます。この部分を「あて材」といい、特に針葉樹の場合を「圧縮あて材」といいます。
実は広葉樹では逆で、狭い方が下で、広い方が上になり「引っ張りあて材」といいます。
今回書いた木材の使い方の向きは、上下のことだけでしたが、他にも、たとえば板形状のものには「木表」「木裏」の使い分け、構造材の梁などには「背」「腹」の使い分けなどあります。
新建材や集成材では木の向きは関係なくなってしまいますが、無垢の木材ならではの使い方ですね。絶対にそうしないといけない事でもないですが、知っておけば面白いかなと思います。