癒しのお風呂
冬が近づいてくると暖かいお風呂が恋しくなります。
日本の住宅にとってお風呂は、欠かせないもののひとつです。
一日の終わりに、心安らぐひと時です。
今回はお風呂についてお話したいと思います。
お風呂の種類
お風呂には様々なものがあります。
よくテレビの時代劇で見るような木のお風呂や、ドラム缶風呂、温泉で多い石のお風呂やタイル貼り、ステンレスの浴槽等々。
私の祖父母の家は、床と壁はタイル貼りで浴槽はステンレス製でした。
しかも、薪で沸かすタイプのお風呂で、子供のころ従妹たちと入っていたのが懐かしい思い出です。
このように、現場でタイルを一枚一枚貼り合わせたり浴槽の材料を組み立てるお風呂を『在来工法』といい、現在ほとんどの家庭で使用されているお風呂は『ユニットバス』または『システムバス』といいます。また、『在来工法』と『ユニットバス』を組み合わせた『ハーフユニットバス』というものもあります。(詳しくは次項でお話します)
浴槽の形も素材も多種多様で、肩までゆったり浸かれる深型や、下の写真のように浴槽内に段差があるタイプ(半身浴に最適)、洗い場を広く取れるような形状のものなどたくさんのものがあります。ただし、大きな浴槽はその分湯量も多く光熱費が増えます。お掃除をする手間も増えたりとデメリットもあるので、お風呂を選ぶときには優先順位をはっきりさせておくことも大切です。
また機能面においても、お風呂の湯はりや追い炊きはほぼ全自動ですし、外出先からスマホなどで指示できるものもあります。
ジェットバスやミストサウナ、打たせ湯のような機能、浴室乾燥機に暖かい床や保温性の高い浴槽や蓋など、日本のお風呂は日々進化しています。
『ユニットバス』
普及率約90%の『ユニットバス』ですが、簡単に言うと組み立て式の浴室全般の事をいい、『システムバス』ともいいます。工場で浴槽や天井、床を製造して、家に取り付ける際に組み立てを行います。同じ部品を大量に生産し、現地での施工もスピーディに行えるのでコストを抑えることができます。壁の一面だけを好きな色や模様にしたり、浴槽の色も形も様々なものがあり、人造大理石やFRP(ガラス繊維強化プラスチック)など、お好みや予算にあわせて選ぶことができます。
ホテルやアパートなどで使われる『2点ユニット』や『3点ユニット』は、お風呂・洗面台や、トイレが一体になったユニットバスの一種です。それが『ユニットバス』だと思っている方もあるようですが、そうではありません。
また、弊社のモデルハウスには『ハーフユニットバス』が設置されています。『ハーフユニットバス』は、浴槽と洗い場、壁の下部分だけがユニットバスのようになっていて、壁の上部分と天井は後付けで在来工法のように施工するので、浴槽・洗い場の防水性を確保しつつ、天井高が取れない、傾斜がある、壁の一部が出っ張っているなどといった場合にも対応できます。壁の素材も選択肢が増えるので、例えば下の写真のような木の壁にしたり、おしゃれなタイルを貼りたい!などといった希望も叶えることができます。
素材
浴槽に使用される一般的な素材についていくつか説明します。
・FRP(ガラス繊維強化プラスチック)
浴槽として最も普及している保温性・耐水性に優れた素材です。軽い樹脂素材で価格がリーズナブルでありながら、肌触りがなめらかという特徴があります。需要が多く様々な色や形が出回っているので、好きなデザインの浴槽が選べるということもFRPのメリットのひとつです。ただし、汚れがつきやすいというデメリットがあるので扱い方には注意が必要です。
・人造大理石
天然の大理石のような風合いがあり人気の高い素材です。人造大理石には主にポリエステル系とアクリル系のものがあり、アクリル系のほうが高価ですが、透明感があって肌触りもなめらかです。人造大理石は、汚れがつきにくく手入れがしやすいというメリットがあります。必要以上に乱暴に扱わなければ、長いあいだ表面の美しさを維持することができます。
・ステンレス
浴槽の材質としては最も安価で、サビや傷に強く表面の清潔感が保ちやすい素材です。しかし、その素材感が目立ってしまい、お好みの雰囲気に合わない場合もあります。金属特有の肌触りも好き嫌いが分かれる材質ですが、底面エンボス加工などの工夫で金属特有の肌触りが抑えられた製品も出てきています。
・ホーロー
鋳物や鋼板の表面がガラス質でコーティングされている材質で、ポットや食器などにも広く用いられている素材です。保温性が高くカビが生えにくいなどのメリットがある一方、比較的高価で、材質自体が重たいので2階には設置できない場合があるというデメリットがあります。
・木製
浴槽の材料として使われる木の種類には、ヒノキやヒバ、マキなどがあり、最も高級であるヒノキが人気です。従来の木製の浴槽には、腐りやすいうえに手入れが難しいというデメリットがありましたが、特殊な加工をすることによって欠点をカバーしている製品もあります。
このように浴槽の素材だけでもたくさんの種類がありますが、私が家を新築するときには、絶対に人造大理石にしようと決めていました。
私は掃除があまり得意ではないので、少しでも楽な方が良いという思いが強かったのですが、新築して15年、その思いは正解でした。わが家も一般的なユニットバスですが、床やドアのゴムパッキンにカビが発生していても、人造大理石の浴槽だけは、少しの労力でいつもピカピカです。
また、弊社モデルハウスの浴室の壁にはヒノキ科のサワラという木を使用しており、ヒノキほどではありませんが木の香りがとても良いです。お客様からは「カビが生えませんか?」とよく質問されますが、それはどんな素材でも一緒で浴室にはカビが生えやすいものです。使用後に水分をふき取るとか、十分な換気をするなどの対策はどんな素材でも必要です。
お風呂は家族が毎日リフレッシュするところなので、気持ちよく使える素材選びと、日々のお掃除がとても大切です。
浴室の広さ
ユニットバスの広さは、0.75坪タイプ、1坪タイプなど床面積で表されることも多く、サイズでは1216サイズ(120㎝×160㎝)、1616サイズ(160㎝×160㎝)などと言われます。同じ一坪タイプでも多少の違いはあるのでリフォームの際には注意が必要です。
私の新築時のもう一つのお風呂へのこだわりは広さでした。当時0歳、2歳、3歳の3人の子育て中でしたので、お風呂は広くしてみんなで一緒に入りたい!と思い、1.25坪タイプにしました。当時は、水遊びもできるしなんて画期的!!と思っていましたが、今となっては広すぎる浴室を持て余し、掃除の度になぜこんなに広くしたのか・・・と後悔です。
介護のときも1.25坪以上が理想のようですが、まだまだ先の話です。やはり、一般的な1坪タイプで充分だったと思っています。
お風呂に限らず、家の新築時は小さな子供に合わせて考えがちですが、子供はあっという間に成長します。子供に合わせすぎた安全性や利便性はあまり必要ないのだと思います。角が危なかったら取り外せるクッション材で保護するとか、お風呂が狭いなら一人ずつ入れるとか、ちょっとした工夫で十分なのだと思います。広いお風呂にこだわるより、寒くない浴室・脱衣室にこだわるべきだったと、冬が近づくたびに実感しています。今度、建て替えることがあったなら、絶対にエフ・ベースの暖かい家にしたいと思っています。(息子に期待。。。)